外国出願

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弊所は世界各国の優れた代理人と厚い信頼関係を築いており、そのような外国の代理人と緊密に連携を取りながら、企業の外国での事業活動を支える強い知的財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)の取得を行っています。
特に、アジア、米国、欧州において多数の知的財産権を取得してきた実績を有します。

以下に外国出願の概要について説明いたします。

(1) 特許権・実用新案権について

外国で特許権や実用新案権を取得するためには、主に以下の2つの方法があります。

  1. ① 直接出願

    特許権や実用新案権を取得しようとする国の特許庁に対して特許出願や実用新案登録出願を直接行う方法です。
    出願する国の数が少ない場合や特許協力条約に加盟していない国に出願する場合などには直接出願をお勧めいたします。

    直接出願をする場合は最初の出願を基礎として工業所有権の保護に関するパリ条約(Convention de Paris pour la protection de la propriété industrielle)における優先権を主張することが一般的です。

    優先権を主張することにより、直接出願が、最初の出願から直接出願までの間に行われた行為、例えば、他の出願、当該発明の公表又は実施等によって不利な取り扱いを受けないものになります。

    優先権を主張するためには、最初の出願の日から12カ月以内に直接出願をする必要があります。

  2. ② PCT出願

    特許協力条約(Patent Cooperation Treaty(略称PCT)、Traité de cooperation en matière de brevets)は、所定の言語と様式で作成した出願書類を所定の受理官庁に提出し、受理官庁が国際出願日を認めると、国際出願日から各指定国における正規の国内出願の効果を得られる制度です。

    直接出願をする場合は、各国が定めた言語と様式に則って出願する必要があり、かつパリ条約における優先権主張が認められる期間が最初の出願の日から12カ月に限られているため、出願する国の数が多い場合は限られた時間の中で複雑な手続きを行わなければならず、負荷が高いものになります。このような場合に特許協力条約を利用すると、所定の言語で所定の受理官庁に出願書類を提出すれば済むため、前述の負荷を大幅に削減することができます。

    したがって出願する国の数が多い場合はPCT出願をすることをお勧めいたします。

    また特許協力条約には国際調査制度や国際予備審査制度があるため、国際調査報告書や国際予備審査報告書の結果を参酌した上で移行国を決定することができるという利点もあります。

フロー

特許権フロー図 直接出願(パリルート)

1 パリルートの出願日=優先日(基礎出願の日)

2 パリルートの場合、優先日(基礎出願の日)から各国出願まで12月以内に出願する必要があります。

3 直接出願の出願日=各国出願日

特許権フロー図 PCT出願

1 出願日=優先日(特許庁への出願日)

2 優先日(特許庁への出願日)から国内移行まで30月です。

3 権利を取りたい国へ翻訳文を提出し、国内移行をする必要があります。

(2) 意匠権について

外国で意匠権を取得するためには、主に以下の2つの方法があります。

  1. ① 直接出願

    出願する国の数が少ない場合やジュネーブ改正協定の締約国でない国に出願する場合などには、意匠権を取得しようとする国の特許庁に対して意匠出願を直接行うことをお勧めします。

    このとき工業所有権の保護に関するパリ条約における優先権を主張することが一般的です。この場合、優先権を主張するための期間が最初の出願の日から6カ月以内であり、特許出願や実用新案登録出願の優先権主張の期間よりも大幅に短いため、注意が必要です。

  2. ② ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく国際意匠出願

    ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく国際意匠出願は、所定の言語(英語、フランス語、スペイン語)と様式で作成した出願書類を世界知的所有権機関の国際事務局に提出し、前記国際事務局が国際登録をすると、国際出願日から各指定国の官庁に出願されていたと同じ効果を得られます。

    出願国の数が多い場合には、出願手続きの労力を低減することができるためお勧めです。

    また国際登録の更新等の手続きも、前記国際事務局に申請すれば足りるため、外国の意匠権の管理を容易に行うことができます。

フロー

意匠フロー図 直接出願(パリルート)

1 パリルートの出願日=優先日(基礎出願の日)

2 パリルートの場合、優先日(基礎出願の日)から各国出願まで6月以内に出願する必要があります。

3 直接出願の出願日=各国出願日

意匠フロー図 ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく意匠出願

1 特許庁へ提出した場合の出願日=特許庁出願日

2 直接提出の場合の出願日=国際事務局への出願日

3 出願時に指定締約国を指定します。

(3) 商標権について

外国で商標権を取得するためには、主に以下の2つの方法があります。

  1. ① 直接出願

    出願する国の数が少ない場合やマドリッド協定議定書の締約国でない国に出願する場合などには、商標権を取得しようとする国の特許庁に対して商標出願を直接行うことをお勧めします。

    このとき工業所有権の保護に関するパリ条約における優先権を主張することが一般的です。この場合、優先権を主張するための期間が最初の出願の日から6カ月以内であり、特許出願や実用新案登録出願の優先権主張の期間よりも大幅に短いため、注意が必要です。

  2. ② マドプロ出願

    マドプロ出願は、標章の国際登録に関するマドリッド協定の議定書(Protocol relating to the madrid agreement concerning the international registration of marks)に基づき、基礎となる出願又は登録のある本国官庁を通じて世界知的所有権機関の国際事務局に出願書類を提出するというものです。

    この出願書類には保護を求める締約国が指定されており、指定された締約国(指定国)が所定の期間内に拒絶の通知を行わないと、その指定国でマドプロ出願に係る標章に保護が与えられることになります。

    出願国の数が多い場合には、出願手続きの労力を低減することができ、各国に直接出願をする場合よりも費用が安価になるためお勧めです。権利の更新等についても前記国際事務局に行えば済むため容易です。

    ただし、マドプロ出願をするためには、基礎出願又は基礎登録(例えば日本特許庁への商標登録出願や商標登録)が必要である点に注意が必要です。また、国際登録日から5年間は、基礎出願又は基礎登録と紐づけられているため、その5年の間に基礎出願が拒絶されたり、基礎登録が無効等になってしまった場合は、国際登録も同様の結果になるため、注意が必要です。

フロー

商標フロー図 直接出願(パリルート)

1 パリルートの出願日=優先日(基礎出願の日)

2 パリルートの場合、優先日(基礎出願の日)から
各国出願まで6月以内に出願する必要があります。

3 直接出願の出願日=各国出願日

商標フロー図 マドプロ出願

1 既に商標登録出願又は商標登録されている基礎出願又は基礎登録が必要です。
さらに、①マドプロ出願する商標と基礎となる商標が同一②マドプロ出願での指定商品・役務は、基礎出願/基礎登録の指定商品・役務と同一又はその範囲内③マドプロ出願の出願人が、基礎出願/基礎登録の出願人又は名義人と同一、である必要があります。

2 出願日=特許庁への出願日

3 出願時に権利を取得したい締約国を指定します。

4 国際登録後、事後指定手続を行うことで、出願時に指定しなかった国も指定可能です。